大判例

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広島高等裁判所 昭和30年(う)413号 判決

判決理由〔抄録〕

所論は原判決の事実認定に誤がないとしても交通頻繁な原判示道路上に人間が寝ているというようなことは全く予想できない稀有の事例であるから、自動車運転者としては原判示障碍物が人間であるか否かを確認する注意義務がない。仮にそうでないとしても原認定の状況下では本件の事故を避けることができなかったものであり、従って被告人に過失がないと主張するのである。

なるほど高速度交通機関による交通事故を防止するについては一般通行人においても注意義務を分担すべきであることは異論のないところであるが、さればといってそれがために交通機関従業員の本来の注意義務を減免するいわれはない。本件において被害者山口省吾が酔余の上とはいいながら交通頻繁な原判示道路上に寝込んでいたことは重大な過失というべきであるが、かかることは泥酔者によって往々なされることであるから、苟くも山口省吾の寝姿を障碍物として目撃した以上、万一の場合を予想し、その轢断を避けるため原判示の如き万全の措置を講ずべき義務を有することは当然である。更に所論は原認定の状況下では本件事故を避けることが殆んど不可能であるというのであるが、原判決が挙示する証拠を綜合すればその然らざることを認めるに十分である。所論は独自の見解に立脚するものであって採るを得ない。

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